丹波立杭焼のおはなし その2では、窯バージョンアップの話をしましたね。
今回は、丹波立杭焼の特徴と窯の関係性を紐解いてゆきます。
前回お伝えした通り、丹波の窯は「蛇窯」といって
他の産地の登り窯とは少々形状が異なります。
他の登り窯は焼成室ごとに仕切りがあって
倒炎式(火が下↓から壁に沿って上昇し↑天井にぶつかって下降↓して下の穴を抜けて次の焼成室に移っていく。)なのですが、
「蛇窯」は焼成室ごとの仕切りがなく、
直炎式(火が焚き口から火さきまで一直線に流れる。)なので、
1.最初は酸素が不十分な不完全燃焼で、低温で還元性のある炎。
2.炎を上まで到達させるために、途中で酸素を送り込むことで酸素が十分な完全燃焼になるため、高温で酸化性のある炎。
この2つの炎が入り交じって、中性炎になるのです。
中性炎で焼かれた焼き物は、他の登り窯にくらべて釉薬の発色が弱いので
白、黒、焼き締めなどの単純な色が主になります。
昔ながらの丹波立杭焼が渋い色合いばかりなのは、
この「蛇窯の構造」による色の制限があるからなのです。
ですが、作り手の創意工夫によって丹波立杭焼は
より魅力的な変化を遂げてゆくことになります。
その話は次回、伝統的な技法の確立編で!
遊技心スタッフ 杉江